Calendar
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< August 2018 >>
NewEntry
Profile
Category
Archives
Comment
Search
Link

Favorite
素材満載 ブログで作る かんたんホームページ [CD-ROM付き]
Mobile
qrcode
Sponsored Links
<< 墓地内の桜を伐採中 main 伐採した桜の根っこを取り除き舗装 >>
科学者二人からの興味深い話二題

 東雲寺仏教講座に参加されているお檀家さんの一人にN・Hさんという方がおられる。科学技術庁航空宇宙技術研究所などで40年間の研究生活をなさって来た方である。2月の第4日曜日の数日前、東雲寺仏教講座へ出席の連絡メールに興味深い話が添えられていた。長文なので、以下、概要(文責・柚木)を紹介する。

 

 かつて妻と幼い娘とともに米国のサボテンと岩がごろごろの砂漠地帯を車で走ることがあった。前後に走行する車はなく、対向車も何十分に一台あるかないかだった。突然、舗装道路が目の前で消え、岩だらけの凹みに突っ込んだ。豪雨で道がえぐられたらしかった。エンジンの底が岩に当たり、エンジンが変な音を出した。ただ低回転ながらもエンジンが回り続けていたのが救いだった。戻るには100キロ、先に進むには200キロの砂漠の真ん中だった。
 だましだまし車を進めて、なんとか無事にたどり着くことができたが、緑に囲まれた日本では当たり前と思っていたことがまったく通用しない、死と隣り合わせの恐怖の体験だった。ものすごいカルチャーショックで、世界観が変わった。よく言われる「日本の常識は世界の非常識」とも言えるかもしれない。
玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)が天竺(てんじく。インドのこと)への求法の旅でたどった砂漠も、やはり死と隣り合わせの世界だったろう。唐の都の長安もけっして緑豊かな都市ではないが、玄奘がたどった西域のルートは長安では想像できない苛酷なものだったと思う。自分のような人間でも人生観が変わったのだから、玄奘もこの天竺への旅の経験でそれまでとは大きく異なるものを得たのではないだろうか。人間は環境によって考え方が左右され形成されるだろうから、仏教理解と言っても、インド、西域、中国大陸、日本とでは大きく異なるものになるのではないかと思う。

 

 というような趣旨のメールだった。
 N・Hさんは、ご自身の砂漠における恐怖の体験をもとに、玄奘三蔵の西域の苛酷な旅を想像しつつ、人間は自然の環境条件に強く影響を受けるものだから、人生観や世界観、仏教理解も変わるに違いないというお考えだった。
 人種、民族、国家、言語、文化などの境界を越えて広がっている仏教、イスラム教、キリスト教などの「世界宗教」であっても、確かにN・Hさんの指摘のようなことはあると思うし、玄奘の旅についての推論も、なるほどと思った。

 

 2月末日、お檀家さんの葬儀で荼毘(だび。火葬のこと)の間、控室で待っているときに、ご遺族の一人で茨城県つくば市にある物質構造科学研究所のA・Yさんという方から「私は物理をやっているんですが」と声をかけられた。一人でいる私に気遣いしてくれて、「私の研究者仲間にはビッグバンや粒子と反粒子のことを研究している人間がいましてね。一秒の何分かの一のビックバンで宇宙ができたとか、粒子と反粒子が出会うと消滅して光になるというようなことを研究してるんですよ」などと宇宙物理学についての話をしてくださった。そして「物理も突き詰めると宗教的な感じになりますね。物理学者には牧師さんが多いんですよ。お坊さんはどうなんですかね」などと、さまざまな話題を提供してくださった。
 さらに「住職さんはこの世からあの世に故人を送ってくださったわけですが」と前置きして、物質世界のことは研究し、証明することができるが、精神世界のことはそういうわけにはいかない。物質世界では年を取るが、精神世界では年を取らない。「私たちの気持ちはいつまでも若いでしょ。精神世界では46億年の過去へも行くことができる」などと興味深い話をしてくださった。

 

 今、思うとトンチンカンな受け応えだったが、私は仏教で説く宇宙間のすべてを構成する五つの要素「五蘊(ごうん)」=色(物質)・受・想・行・識の中で「色」以外は精神的要素であるとか、道元禅師には「経歴(きょうりゃく)」という考え方があって、坐禅修行する中でお釈迦さまや歴代の祖師方と出会い、同じく修行し、同じく〈さとり〉を目の当たりにするとの確信があったなどと応じた。
 科学者お二人からの問いかけを今後も考えて行きたい。



2017.03.06 Monday 18:59
住職雑感 comments(0)
スポンサーサイト


2018.08.13 Monday 18:59
- -
comment




/PAGES