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馬場紀寿著『初期仏教 ブッダの思想をたどる』を読み心に残ったこと

 気になるところに付箋貼りながら馬場紀寿著『初期仏教 ブッダの思想をたどる』(岩波新書、2018年8月)を読み終えた。その中で心に残った箇所のいくつかを以下に記す。

 

 信者ではない者に対する第一段階の教えとしての「贈与(施)、習慣(戒)、天界(生天)」と、聞き手にさらなる教えを聞く準備ができた第二段階の教えとしての「苦、原因、停止、道」すなわち「四聖諦」とが、区別されている。仏教を知らない聞き手にふさわしい教えを説いたうえで、それを聞いて心が澄んだ者には、仏教の核心となる「諸仏の卓越した説法」を説くのである。

 第一段階の教えが「贈与、習慣、天界」という順序になっているのは、前二者を実践することによって、天界への再生が実現するからである。聞き手が抱いていたであろう願望を前提として、贈与の実践と正しい習慣の定着を促したのである。(112頁)

 

 贈与とともに、他者への倫理と定期的な禁欲が、天界に再生する道であるというのが、未信者に対する第一段階の教えである。仏教以前から存在していた生天信仰を、祭式から切り離し、贈与と良い習慣をその条件とすることによって「倫理化」しているのである。(117頁)

 

これは、まず相手の土俵で願望に合わせて説き、さらに仏教の教えを説くという次第説法についての記述である。漢訳の「布施」「持戒」が原語からの翻訳で「贈与」「習慣」としている。

 

(前略)行為を根本から正すには、たんに行為を律するだけではなく、心そのものを正さなければならない。仏典には、諸仏の偈として有名な、次のような詩がある。
  一切の悪をなさないこと、
  善を具えること、
  自らの心を清めること、
  これが諸仏の教えである。
 悪をなさず、善を身につけるという自律は、究極的には心を清めることを必要とする。(139頁)

 

 この詩は「諸悪莫作、衆善奉行、自浄其意、是諸仏教」と漢訳された「七仏通誡偈」だ。

 

  「自己」だと思われている個体存在は、じつは六つの認識器官の束に過ぎない。たしかに、私たちは日常生活や社会経験として、「わたし」や「自己」という存在を自明のものとして生きている。しかしじつはそこには主体はなく、存在するのは個々の認識器官である。これが「六処」の思想である。(中略)漢訳で「非我」とか「無我」とされている原語は、「自己」だと思われているもののどれひとつとっても「自己ではない」ことを意味している。日本ではしばしば誤解されているが、「無我」の本来の意味は、私心がないことでも夢中になることでもないのである。(154頁)

 

 「六処」とは「眼、耳、鼻、舌、身、意」の六つの認識器官のことであり、その「各認識器官は自己ではなく、自らのものでもない」(155頁)とし、この考え方が「空の思想」の原初の形だという。

 

(前略)先行する解脱思想に対し、仏教はその意味をまったく換えている。解脱とは、もともとは「再生の連鎖からの真の自己の解放」だったのに対して、仏教では「欲望・生存・無知からの心の解放」なのである。
ここで興味深いのは、「自己」ではなく、無常な「心」をこの文の主語としたことによって、真の自己が輪廻から解放されるという「解脱」にあったもとの意味は消えていることである。解脱は、それに代わって輪廻という「自己の再生産」からの解放を指すことになる。この点で、仏教は、「解脱」という言葉の意味を換骨奪胎したのである。(192頁)

 

 先行する解脱思想とはバラモン教やジャイナ教における解脱についての考え方で、いずれも「再生の連鎖=輪廻」からの「真の自己・主体」の解放を説いた。が、仏教は「欲望(快楽、執着のひとつ→取)・生存(有)・無知(無明)」という「十二支縁起(無明、行、識、名色、六処、触、受、愛、取、有、生、老死)」に対応する「自己の再生産」から無常な「心」の解放、十二支縁起の停止を解脱としたというのだ。
 関心のある方、どうぞ一読されたい。



2018.10.12 Friday 13:30
仏教の教え comments(0)
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2018.11.06 Tuesday 13:30
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