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日々変わらねど すべてに新たなり

 山形県上山市の寿仙寺住職・吉田時夫老師から季刊の『寿仙寺だより』110号(2019年1月)を頂戴した。これまでに二十七、八年間ご恵送いただいており、お元気でご活躍の老師の様子をお伝えくださる“便り”である。今回の「たより」の一面には青空のもと雪景色の寿仙寺のカラー写真と「日々変わらねど すべてに新たなり」と題した年頭の挨拶文が掲載されていた。四十五年ほど前、修行中の吉田老師が福井県の大本山永平寺で迎えた元旦の思い出が記されていた。

 

 住職が永平寺で勉強中の時のことです。元旦の朝を迎えると、法堂(はっとう=本堂)での朝のお勤めで、特別に禅師さま(永平寺の住職)に質問することが許されます。特に一年生は質問をするように先輩僧から厳しく指導を受けましたので、私も質問をすることになりました。時の禅師さまは目がご不自由でおられ、声に対しては特に配慮をしていたといいます。私の順番になりました。緊張の中での質問でしたので、文章的に正確だったかどうかは分かりません。
 「日々、朝・昼・夜の行事、坐禅、本講、作務(労働)に勤めています。今日も昨日と変わりません。修行僧にとって今日は何か特別の日なのでしょうか」
 これに対して禅師さまは私の心を斟酌して、はっきりと応えられました。
 「日々変わらねど すべてに新たなり」というものでした。
 いつもお正月を迎えると、この言葉がよみがえってきます。(後略)

 

 東雲寺の坐禅堂壁面に吉田老師から頂いた写真が三点掲示してある。坐禅堂入口の真上に「太白山天童景徳禅寺」(その昔、道元禅師が修行された中国の禅寺「天童寺」)の写真、その斜め左下に「大日如来」そして坐禅堂の奥の右側に「地蔵菩薩」。ひとつは吉田老師が1980(昭和55年)初冬に駒澤大学中国仏教史蹟参観団の一員として訪中した際に撮影した天童寺仏殿の写真であり、他の二つは、当時、吉田老師が休暇を利用して国東半島はじめ全国各地を訪れ撮影した石仏写真の中の二作品である。老師が東京都港区芝の東京グランドホテルで石仏写真の個展を開いたことがあり、そこで展示した作品の中から、後日、拙(わたし)が老師にお願いして頂戴したものである。
 実は吉田老師と拙(わたし)とは福井県の大本山永平寺で同時期に修行し、さらにその後、曹洞宗宗務庁(教団の本部事務所)にも一緒に勤務し、ほぼ二十年間、毎日顔を合わせ、週に一、二度は盃を傾けていた間柄である。

 老師はこれまでに数々の労著をものされており、代表作のひとつ『随想 曹洞宗と天皇制を考えるヒント』(1997年4月)が『山形新聞』「味読・郷土の本」欄に取り上げられることになった折には、当時、曹洞宗人権擁護推進本部事務局長を務めていた拙(わたし)に書評の依頼があった。以前、この書籍のもととなる四百字詰二百五十枚ほどのワープロ原稿を読み、ぜひ公刊すべしとお勧めした者として、推薦の一文を寄せて、その最後を次のように締めさせていただいている。

 

 (前略)「大逆事件」の「暗黒裁判」で死刑に処せられた内山愚童和尚の問題や、教団や宗教者の戦争荷担の問題についても多くのページを割いて検討し、吉田師は次のように言う。「今後同じ過ちを繰り返さない為にも、今日、この歴史をできるかぎり正確に理解し、その原因を見極め、歴史から学んでいかなければならない。これが自ら宗教人生を確立していく出発点のように思えてならない」と。
 ぜひ議論の素材とするため、教団内外を問わず識者の方がたの一読をお願いしたい。

 

 この書籍はその後に加筆増補され『曹洞宗と天皇制を考える』として2014年3月に東京新宿区の文芸社から新たに出版刊行されている。興味のある方、どうぞご一読を。
 吉田老師は常に「仏教とは何か」を確認する作業を続けつつ学びを深められ、その成果を『寿仙寺だより』にまとめ、檀信徒の方たちのみならず拙(わたし)などまで啓発くださっている。日々変わらねど、すべてに新たなりである。心して精進修行したい。



2019.01.07 Monday 09:33
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2019.01.07 Monday 09:33
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