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晋山結制式を挙行
  4月29日、晋山結制(しんさんけっせい)の諸法要を修行させていただいた。当日はお陰さまで晴天に恵まれ、定刻午前8時に、東雲寺檀徒総代・世話人、梅花講の皆さんらと新住職、60余名が行列を組んで表参道を歩いて、東雲寺の正面から本堂内に入り、ご本尊さまやご開山(初代住職)さまはじめ歴代住職などへ挨拶を行う晋山式(しんさんしき)を皮切りにいくつかの法要を行った。
 晋山式とは、お寺の山号(さんごう)、東雲寺の場合は「龍谷山」に新住職が晋(すす)み入る式、住職就任式のことである。
 東雲寺のご本尊さまであるお釈迦さまへご挨拶申し上げる際には「十方三世一切諸仏 仏の威儀を行じて 釈迦仏と成る」と唱えさせていただいた。すなわち過去現在未来、四方四隅上下の十方世界、何時の世でも、どこにあっても、坐禅修行するものは仏さまの行住坐臥(ぎょうじゅうざが)、四威儀(しいいぎ)を踏み行い、お釈迦さまになるという道元禅師のお教えを四句にまとめたものである。
 この晋山式では、昨年3月末の曹洞宗宗務庁退職の折、宗務庁有志一同80余名から頂戴した麻の墨染めの衣と、福島県二本松市の実家の母からお袈裟にしなさいと贈られた「付下げ(訪問着代わりになる和服)」を衣材に新調した地蔵袈裟を着用させていただいた。いずれも公式には初めて着るものだった。
 続く結制上堂(けっせいじょうどう) 、寺院において住職の指導のもと3ヵ月90日間(東雲寺では4月15日〜7月15日)の修行期間「制中(せいちゅう)」を設けることを「結制」といい、また、住職が本堂正面奥の須弥壇(しゅみだん)に上って説法することを「上堂」という  のときには問答形式で説法するのが通例だが、その前にいくつかのお祈りやご供養の言葉を述べ、その度ごとにお香を焚(た)くことになっている。
 その最初のご供養とお祈りの言葉では、晋山結制の良き日にあたり、日本国東京都町田市龍谷山東雲寺22世住職として謹んでお香を焚き、お釈迦さま、大本山永平寺開山・道元禅師さま、大本山總持寺開山・瑩山(けいざん)禅師さまにご供養申し上げ、正しき仏教の教えがいよいよ盛んになり、差別や戦争のない平和で明るい世界が実現し、人びとが心豊かに暮らし、皆ともに自己実現を果たして各々の人生を全うできるよう心からお祈りするとともに、住職として懸命精進することをお誓いした。
 このときは相模原市津久井町根小屋の功雲寺37世敦岡白鳳(つるおかはくほう)老師の形見分けで頂戴した深紫色の衣に、拙の弟、岩手県花巻市雄山寺17世豊巻祖禅和尚手縫いのお袈裟を着けた。祖禅和尚も十年前の七月に鬼籍に入っている。この白鳳老師や祖禅和尚のことは、折に触れ思い出しては、僧侶としての自らの生き方を顧(かえり)みている。いずれも強烈な個性を持った、法に篤く(曹洞宗の法式作法に明るく、丁寧で手抜きをしない)、自他に親切な(間違っていることは間違っていると、どこでも何時でも誰にでも言うような)禅僧だった。その二人のゆかりの衣とお袈裟を着けて説法させていただいた。
 修行僧第一座「首座(しゅそ)」を務めてくれた敦岡大雄(つるおかだいゆう)さん(白鳳老師のお孫さんで功雲寺住職敦岡祖雄師のご子息)、小学校三年生の小林朋寛(ともひろ)くん(青葉区恩田町福昌寺住職のご子息)、そして拙の甥たち、高松泰俊くんや豊巻大禅くん、宗務庁で苦労を共にした山本健善老師、書記の津田宜範さんが質問に立ってくれた。
 さらにこの質問形式の説法が正しく行われたかどうか検分証明を行う役目「白槌師(びゃくついし)」を東雲寺前住職柚木能宣(ゆぎのうせん)老大和尚にお願いした。
 説法終了後には、大本山永平寺専使・福島県二本松市大隣寺住職高松祖學師(拙の兄)、大本山總持寺専使・横浜市神奈川区幸ケ谷の宗興寺(そうこうじ)住職、畏友・中野重哉師、東京都宗務所長・豊島区巣鴨白泉寺住職来馬英紀(くるまえいき)老師、第十一教区長・町田市真光寺町観泉寺住職・天野江南老師、東雲寺檀徒総代・井上恭一さまからそれぞれ身に余るお祝辞をいただいた。
 司会進行は原町田の宗保院(そうほいん)住職・鬼頭広安師にお願いした。穏やかな語り口で適切な解説をされ、儀式の進行をして下さった。有り難い法要だった。


2009.05.04 Monday 15:52
東雲寺あれこれ comments(2)
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