Calendar
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< August 2011 >>
NewEntry
Profile
Category
Archives
Comment
Search
Link

Favorite
素材満載 ブログで作る かんたんホームページ [CD-ROM付き]
Mobile
qrcode
Sponsored Links
和泉 舞さんの独舞『原爆の図』第4部「虹」を鑑賞
 8月18日(木)夕方、町田市原町田三丁目にある勝楽寺さまをお訪ねした。ホテル ザ・エルシー近く、地上9階建ての納骨塔「無量寿の塔」がそびえる浄土宗の寺院である。このお寺を会場に、和泉舞さんの独舞「原爆の図」シリーズ第四部「虹」という〈鎮魂の舞〉が上演されるので、それを鑑賞するためだった。
 和泉舞さんは、五年ほど前から東雲寺坐禅会にほとんど毎回ご参加くださっている方で、丸木位里・丸木俊夫妻の全15部の「原爆の図」を題材に、ライフワークとして創作舞踏を作り続け上演している舞踏家である。
 時折、和泉さんご自身から公演などの案内をいただいたり、彼女の活動を取り上げた新聞記事のコピーやチラシなどを頂戴していた。「坐禅会たより」499号、500号でも文京シビックセンターで行われた「原爆の図展」での公演について若干取り上げさせていただいたことがある。
 ただ遺憾ながらこれまで日程が合わず、和泉さんの舞台を観ることができなかった。今回は7月にチラシをお持ちいただいたときから、ぜひ和泉さんの公演を観に行きたいと思って、家族にも日程調整の際に優先するように伝えていた。
 妻が8月16日『朝日新聞』朝刊の多摩版に「『原爆の図』を舞踏で伝える」という和泉さんの公演を紹介する、次のような記事が載っているのを見つけ、私に教えてくれた。

   原爆の惨状を伝える連作絵画「原爆の図」を舞踏で表現する独舞が18日、町田市の寺で披露される。演じる同市の舞踏家・和泉舞さんは被爆者の鎮魂に加え、東日本大震災や原発事故の被災者への思いや未来への希望を舞に託す(後略)

 さらに公演当日の新聞折込みで配布された『タウンニュース』(8月18日号)というミニコミ紙にも「舞踏家の和泉舞さんが創作舞踏を通して原爆や現代の問題でもある原発に対する警鐘を鳴らす」などという記事が載っていた。

 勝楽寺さまに着いて、まずご本堂前でお参りし、しばらく境内の諸堂を外から拝観する。スロープやエレベーターなどが各所に設置されていて、お寺全体がバリアフリーになっていた。本堂の前庭は板敷きのウッドデッキ状になっていて、その周囲には細長い箱状の腰掛けのようなものがあった。納骨塔の両脇には地下1階へ流れ落ちる人工の滝があり、地下にも斬新なデザインの中にも落ち着いた雰囲気の「光庭」があった。

 18時開場、本堂内に案内されて開演を待った。定刻となり「水先案内人」という進行役の方から「虹」の第一幕「黒い雨」は本堂前の庭で上演されると告げられ、観客は本堂正面の階段や縁側へ移動し、思い思いのところに陣取る。
 庭の向こう側に赤い唐傘、その下に少しだけ和服の裾模様らしい花々が見えた。いよいよ舞踏が始まると、黒留袖の後身頃を前に前身頃を背中にして作り直した長めの黒い衣裳だった。まず目を惹いたのはその足捌きの見事さだった。そして無駄のない身体の動き、指先爪先にまで行き届いた神経、その表現に感銘を受ける。
 プログラムの第一幕「黒い雨」のコメントによると「中空に火の玉が爆発し 白熱的閃光が走る 火焔は光幕状をなし 四方へと拡がる 黒煙の柱 立ち昇り 白黒赤黄の彩雲左右に渦巻く きのこ雲 爆風・・・」などと記されていた。

 第二幕「日本兵と米兵捕虜」では観客は本堂内の左右に分かれて座る。水先案内人二人によって本堂の四隅にロウソクの火が灯され、次いで正面の扉が開けられる。将官用制帽を目深にかぶりボロボロになった制服をイメージした衣裳を身につけた和泉さんが本堂内に入って来て「崩れた兵舎 骸骨のワルツ 炎に舞う 焼け爛れた皮膚を射る 寒さ・・・・」という独舞を舞う。

 第三幕「虹」では、観客は水先案内人によって地下1階のスペースに案内される。最初は裾の長い赤い衣裳による「光庭」での舞、後半は流れ落ちる滝の前で水路に足を踏み入れての舞。背中が大きく開いた衣裳で、鍛錬された舞踏家の身体と動きに感動を覚えながら、「虹」を鑑賞、堪能した。
 


2011.08.29 Monday 09:17
人権・平和・環境 comments(0)
東雲寺文化講座開催
2011082816150000.jpg
 昨年に引き続き今年も、近世仏教史の研究者で、国内はもとより世界各地の大学などから招かれて特別講義をなさっておられる明治大学名誉教授・圭室文雄(たまむろ ふみお)先生を講師にお招きし、三回連続講座を開催。
 8月28日の第一回目は「とげぬき地蔵信仰」についてご講演をいただきました。
 万病に効く、まるで総合病院のような「とげぬき地蔵」の霊験譚を明治大学図書館蔵の史料『延命地蔵印行利益記』を使ってご紹介くださり、迷いの世界で苦しむ私たちを親しみやすい姿で、身近にあって、救ってくださるお地蔵さまについてご講演くださいました。
 圭室先生のゼミの教え子でいらっしゃる宮代さんが、なんと名古屋からお出でになり聴講くださいました。

 次回は9月25日(日)15時〜16時30分
   「観音霊場詣りー西国・板東・秩父ー」
 第三回は10月23日(日)15時〜16時30分
   「伊勢参りー東国から出かけた人々ー」

 会場や資料の準備の都合上、前日までにFAX、あるいはメールでお申込みください。
  FAX 042−721−2964
  Eメール butudou-sogen@vesta.ocn.ne.jp


2011.08.29 Monday 08:24
東雲寺あれこれ comments(0)
夏休み最後の土曜朝、子ども坐禅会を開催
2011082707410000.jpg
 8月27日、夏休み最後の土曜日、夏の子ども坐禅会を開催。子どもたち56名、保護者の方たち30数名が参加くださいました。
 成瀬台の子どもたちを中心に、大勢の子どもたちと保護者の方々が、1985(昭和60)年から東雲寺に坐禅に来ています。
 お母さんと一緒に参加してくださった子どもたちが、お母さんになり、親子三代でご参加の方もおられました。
 子どもたちのキラキラした眼に出会い、彼ら彼女らがすくすくと成長することを願い、参加されたみなさん一人ひとりの幸せを祈りつつ、東雲寺坐禅会では普段は使用しない警策(希望者が申し出た場合だけ使用)を子どもも大人も参加者全員にパチン、パチンと差し上げました。



2011.08.27 Saturday 14:45
東雲寺あれこれ comments(0)
亡き人びとの思いをつむぐ
 8月6日は、1945(昭和20)年の原爆投下から68年となる「広島原爆忌」だった。原爆で亡くなった人びとの名前が記されている広島市の「原爆死没者名簿」に、この一年間に新たに死亡が確認された5785人の名前が書き加えられ、計27万5230人の方が死没者名簿に登載された。平和記念式典においてこの名簿が原爆慰霊碑に奉納されている。
 長崎市の原爆死没者名簿への登載者数は、新たに追加奉安される3288人を加え、8月9日現在、15万5546人となった。
 この両市の原爆死没者名簿に登載された方たちには、それぞれお一人お一人に父母や家族、親戚、友人知人がいたはずである。27万5230人や15万5546人は単なる数字ではない。

 一方、警察庁によると、8月25日現在、東日本大震災による死者は1万5731人となったという。最も多いのは宮城県の9413人、次いで岩手県の4649人、福島県の1603人などとなっている。この大震災犠牲者の方々にもご両親をはじめご家族ご親戚、友人知人がいて、笑ったり怒ったり、仲良くしたりいがみ合ったりしていたのだ。間違いなく私たちと同じ時間、同じ空間で日常生活を送っていた人たちなのだ。

 7月中頃の坐禅会終了後だったが、ある父娘から「この子が和尚さんに聞きたいことがあるんですが」と声をかけられた。「どんなことですか」と応じると、小学生のYさんが「亡くなった人はどこにいるんですか?」というのだった。昨年4月から時々お父さんと一緒に坐禅会に参加している女の子からの質問だった。
 できればすぐに「どうして、そういうことが聞きたくなったのかな?」と逆に質問して、疑問の背景を少しさぐってから回答すればよかったのだろうが、このときは時おりお檀家さんの葬儀の後などにお話していることを少し噛み砕いて、「児童向け」を心がけながら次のようなことを話して回答に代えた。
 亡くなった人は、それまでのように眼に見える形ではないけれども、私たちの周りにいる。私たちがその亡き人を思うとき、私たちの心の中にもどって来てくれる。だから心の中にいると言ってもいいと思うよ、と。

 この世は無常である。世の中のあらゆるものは常に変化し続けて永久不変なものはない。これは仏教の教えの基本中の基本である。
 この私という存在も、「因縁」   さまざまな原因とさまざまな条件によって、今、ここで、しばらくの間の生命をいただき、こうして坐禅修行させていただける日々を過ごさせていただいている。そしてやがて生命の灯火が消えたならば、荼毘(だび;火葬)に付され、そうなれば私を構成していた物質は、現世における縁から解き放たれて、さまざまな元素などに還って行くのだ。
 自然科学において「化学反応の前後で、それに関与する元素の種類と各々の物質量は変わらない」という質量保存の法則がある。私を構成していた物質も、〈死〉を契機に異なる形、さまざまな物質に変化するが、その質量は変わらず、この宇宙空間に在り続けていくのだろう。

 人間の精神的な活動も、周囲の人びとなどに対して、さまざまな影響を与え続けていくに違いない。歴史上に存在した一人の人間としての影響、波紋は、その強い弱い、大きい小さいはあるだろうが、この地球が存在する限り、永遠に続いて行くと思う。
 原爆で亡くなった方、大震災で亡くなった方たちのお一人お一人も、直接的ではないにしろ、私たち生き残っているものたちへ、さまざまな影響、波紋を送り続けているはずだ。

 道元禅師は、お釈迦さまはじめ歴代の祖師方の修行のあとかたを慕って、自己の身心において坐禅修行し続けて行くことが、仏祖がなさった生き方を、今ここで私たちが現前成就し、仏祖の命脈を保つことになるとおっしゃる。このことは時間空間を超越し、宇宙空間いっぱいに満ち満ちている永遠の真理であり、それ以外にない、人としての〈真実〉の道なのである。
 今は亡き祖師や人びとの思いが私の周辺に満ち満ちている。
 


2011.08.27 Saturday 14:33
住職雑感 comments(0)
1/1PAGES